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2016年9月

法務省 民事執行法改正へ!

法務省は今月12日、民事裁判の支払い義務を果たさない債務者の預金口座情報を、裁判所が銀行などに紹介できる制度の検討を始めたとのことです。

現行制度では債権者が裁判所に預金の差し押さえを求める場合、債務者が口座を持つ金融機関の支店名までを自力で特定する必要があり、負担が重く実効性が薄いとの指摘がありました。(債務者本人に情報開示を求める制度はあるようですが、罰則が軽いので実効性に欠けるのでしょうね。)

どういったところに実効性があるのかといいますと。

  • 賃貸不動産の原状回復費を巡る裁判で争った結果、受け取りを認められた家主が、支払いを拒否する賃借人から費用を回収する場合。
  • 交通事故の慰謝料や犯罪被害者への賠償金。
  • 売掛金や金銭賃借を巡るトラブル

など民事裁判で確定した債権に広く影響するとのこと。

また離婚後に元配偶者から養育費を受ける際にも役に立つ。離婚後、養育費を受け取れていない母子家庭の割合は高く、厚生労働省の2011年の調査では、母子家庭の約4割が元夫と養育費を取り決めたが、実際に養育費を受け取れているのは、その約半数にとどまっているとの報告があり、また日本弁護士連合会の2008年の調査では、確定判決を勝ち取りながら債権を回収できなかったことが「ある」と答えた弁護士は全体の8割になるそうです。

 

ここでいう民事執行法は以下の4つの点を規定。

  1. 強制執行
  2. 担保権の実行としての競売
  3. その他の競売
  4. 債務者の財産の開示

民事執行法改正で不動産競売からの暴力団排除も目指し、離婚などで離ればなれになった「子の引き渡し」の強制執行について新たな規定も検討され、虚偽の説明をした債務者に対する罰則の強化も視野に入れる方針とのこと。

法案の提出は2018年以降になる見通しですので、進展がありましたらまた掲載したいと思います。

<日本経済新聞より抜粋>

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